活動レポート(ブログ)

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みやざき中央新聞への掲載 パート2

2017/05/30協会より

心にも、体にも、タッピングタッチ! 2

やさしいタッチで不安や緊張が和らぐ~震災の被災地で活躍

  タッピングタッチの開発の背景には、私のアメリカでの体験があります。

私は、アメリカの大学で臨床心理学の博士号を取得して、地域の精神保健センターや総合病院の精神科、薬物依存患者の施設などで治療に関わりました。

そこで感じたのは、「治療者や施設を増やしても病気は減らない」ということでした。

 確かにアメリカは医療の面でも先進国で、治療技術も最先端。心理的なケアも行き届いています。

にもかかわらず日本でいうところの「生活習慣病」の患者は増える一方で、心の病気に関しては子どもを含む多くの患者が睡眠薬や抗うつ剤なくしては生活できない状況でした。

そんな状況を目の当たりにして、病気を治してくれる治療者や薬に一方的に頼るのではなく、自分たちで心身をケアする方法が必要だと考えたのです。

開発においては治癒的効果はありながらも副作用がないことが大切でした。

他にも、「シンプルで誰でもできる」「お金がかからない」「高度なトレーニングや技術を必要としない」などを考慮していきました。  

理論をもとに試行錯誤と実践を通して行き着いたのがタッピングタッチです。

 タッピングタッチの基本形は、2人でペアになり、1人が後ろに回って相手の背中などを やさしく、ゆっくり触るという形です。

タッチの仕方はいくつかあって、たとえば指先の腹のところを使って軽く弾ませるようにやさしく叩く「タッピング」。手を軽く丸めてネコが足ふみをするように行う、題して「ネコの足ふみ」。手のひら全体でやさしく触れる「ソフトタッチ」など、いろいろあります。タッチは左右交互で、速さはゆっくりが基本です。

基本形の他に、自分で自分をケアする「セルフタッピング」と、介護や看護などのケアの現場でも活用できる「ケアタッピング」があります。

東日本大震災の避難所にボランティアに行った時、NHKの『ためしてガッテン』の取材を受けました。避難所にいる被災者の多くが「夜眠れない」という悩みを持っていました。昼間は瓦礫の片づけをされているのですが、夜は不安や緊張で眠れないのです。

そういう状況の人たちにタッピングタッチをしていただきました。初めは「別に何も感じないよ」といった反応もありましたが、しばらくするとリラックスして眠ってしまう人も多く、 司会の立川志の輔さんが驚いておられました。

タッピングタッチはマッサージではなく、ソフトに触れていきます。これが不安や緊張感を和らげ、自然に眠りが訪れるのです。

また専門家でなくても、親子、夫婦、初めて会った人同士でもすることができます。その上、されている人だけではなく、している人も癒されます。

し合っているうちに、お互いへの安心や信頼感が高まり、良い関係が育つことも多いのです 。

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みやざき中央新聞掲載 パート3

2017/05/30協会より

心にも、体にもタッピングタッチ! 3

ケアによる健康で豊かな生活を ケアし合う大切さ

 私の専門は臨床心理学です。カウンセリングや心理療法を通して心をケアしたり、セルフケアのやり方を教えたりすることが多かったのですが、触れることやお互いにケアし合うことの本当の大切さには気が付いていませんでした。

 しかし、タッピングタッチというケアの技法を通して、「触れ合う」とか「ケアし合う」ことがとても大切であり、にもかかわらずそのことが私たちの生活から抜け落ちていることに気付いたのです。

 そして、実際にタッピングタッチをすることで、してもらう人もしてあげる人もお互いが優しさや思いやりの気持ちを取り戻していくという、そんな素敵な変化を目の当たりにしてきました。

 ある学校のPTAに呼ばれて講演とワークをしました。後日、こんな感想がたくさん届きました。

「普段忙しく働いていて心に余裕がありませんでした。そんな親たちにタッピングタッチはとてもいいと感じました」

「講演が終わる頃には皆さん、とても和やかな気持ちになっていました。大人も子どももいろんなストレスの中で生活しています。家に帰ってぜひ家族にもやってあげたくなりました」

「人の手って本当に温かくてやさしいんですね。どれだけ相手のことを思っても時間に追われて表現できなかったりします。ゆったりとした時間の中で、相手をケアし、一緒にいることの大切さを感じました」

 昨年、沖縄のある病院から「タッピングタッチをとり入れたい」という依頼があり、教えに行きました。

 今、看護師さんや介護士さんなど、ケアの専門家が心身共にくたくたになっています。学校現場でも、心の病で休職したり離職されたりする先生が少なくありません。そういう方たちのストレスケアとして、自分でもできる「セルフタッピング」をお伝えしています。タッピングタッチ協会のHPで紹介していますので、参考にしてください。

 それから医療現場でも患者さんの緊張や不安を和らげることにとても有効です。ホスピスでも心のつらさは薬ではどうにもなりません。人がケアするのが何よりです。

 介護家族の方もタッピングタッチを学んで利用することができます。介護する側のストレスも多いので、ケアし合ってもらうようにします。

 海外にも教えに行っています。言葉や文化が違っても、手とハートだけを必要とするタッピングタッチはとても有効だと感じています。

 タイのスマトラ沖地震の被災地にも行きました。ウガンダの元子ども兵のリハビリ施設でも紹介しました。タッピングタッチはトラウマの軽減効果もあるので、心の傷を深く受けている子どもたちにも有効です。また、アフリカのエイズ患者さんには、家族でケアできるように学んでもらいました。

 大きな利点は、何も特別なものを必要とせず、専門家でなくてもケアできるということです。

 この厳しい時代において、タッピングタッチが多くの人や家族に伝わり、健康で豊かな生活のケアになっていくことを、私は心から願っています。

(大阪で開かれた「タッピングタッチによる心のケア基礎講座」より/取材・大槻博美関西特派員~終わり)

みやざき中央新聞への掲載 パート1

2017/05/30協会より

心にも、体にも、タッピングタッチ! 1

ゆっくり、やさしくふれて「健康になろうとする内なる力」に働き掛ける

一般社団法人タッピングタッチ協会代表・臨床心理学者 中川一郎

<硬直していた体が緩んできた>  

私が開発した「タッピングタッチ」を紹介する前に、まずタッピングタッチをベトナムで 実際に試みた話をさせていただきます。

2009年、私はベトナムのホーチ・ミン市を訪れました。ベトナムは長年にわたる戦争で約300万人が殺され、戦争が終わって40年以上経つのに今もつらいトラウマ(心の傷)を抱えている人がたくさんいます。  

私が向かったのは、結合双生児だったベトちゃん・ドクちゃんが分離手術を受けたツーズー病院です。戦争時の枯葉剤散布の影響を受けて奇形で生まれた子どもや障がいのある子どもを治療したり、ケアする病棟がそこにあるんです。当時もまだ奇形の赤ちゃんが生まれていました。

そこでタッピングタッチを役立ててもらうことがその旅の目的でした。

同行したボランティアが2歳くらいの子の手足をさすりました。その子の体は硬く、腕はちょうどボクシングの構えのように、胸の前で拳を強く握っていました。片足はタオルのようなものでベッドにくくり付けられていました。ボランティアの1人が「硬く握った手も体も緩まないですね」と言いました。

私はその小さな体にゆっくりとタッピングタッチをしていきました。

10分くらいやっていると、腕のこわばりが緩み、硬く握っていた手が開き始めました。 そして時折笑顔を浮かべたり、抱っこしてほしいかのように手を伸ばしてくるようになりました。

次に、その子の隣に寝かされている5歳くらいの子にもタッピングタッチをしました。その子は、体が右によじれ、腕が折れ曲がったような格好で硬直していました。最初の子どもより重症で 、断続的に声をひねり出すように泣くので、私はいたたまれなくなりました。  

その子にもタッピングタッチをしていきましたが、何も変化は起こりませんでした。その子の苦しみだけが伝わってきて、私にとってつらい時間でした。

 何の罪もないどころか、戦争が終わって30年以上(当時)経つのに戦争の影響を引きずって生まれてくる子どもたちがいるという現実に涙が止まりませんでした。

私は無意識に、硬く握っている彼の手を包むように触れていました。するとふっと泣き声が止まり、やがて手足のこわばりが緩んできました。20~30分のタッピングタッチで手足が伸びてリラックスした体になっていったのです。

彼は「誰が僕の体を触っているんだろう」と言わんばかりに目をきょろきょろと動かし 始め、顔を近づけるとちゃんと私を見てくれました。

 この体験は、私にとって重要なものでした。帰国後に研究発表などで伝え、国内の重症心身症の施設などでの利用に繋がっていきました。

<赤ちゃんにもできる心のケア>

 「タッピングタッチ」とは、ゆっくり優しく丁寧に、手のひらや指の腹で相手の背中や頭を左右交互にタッチすることを基本としたホリスティック(統合的)な心身ケアの方法です。とてもシンプルですが、互いにケアし合うことで共に「健康であろうとする内なる力」に働き掛けます。

この「健康であろうとする内なる力」というのは、違う言葉でいえば自己治癒力、自然治癒力といわれていますが、そういうものが人間にはあります。それが滞ったり、弱くなると体が固まってしまうんです。その力を取り戻そうというケアなのです 。

一見するとマッサージというか、体のケアのように見えますが、実は心のケアとしてタッピングタッチは、非常に有効なのです。言葉に頼らない心のケアだからです。

普通、心のケアというとカウンセリングがあります。これは言葉の力が大きいです。「沈 黙もいいですよ」といってもやっぱり言葉がないとなかなか心のケアにはなりません。だから、赤ちゃんにカウンセリングはできないと思うんです。

しかし、タッピングタッチは赤ちゃんにもできる心のケアなのです。それからコミニケーションが困難な障がい者の人や認知症の人の心のケアにも有効なツールになります。

<思いやりや愛は贅沢品じゃない>

マザー・テレサが日本に来られた時、「人間の微笑み、心のふれあいを忘れた人たちがいます。これはとても大きな貧困です」と、このようなことを言われました。  

マザー・テレサは日本に来られて、日本人の「貧しさ」を感じられたのです。当時、日本は高度経済成長のただ中を突っ走っていましたから経済的にはどんどん豊かになっていました。つまりマザー・テレサは精神的な面で「貧しい」と感じられたのです。人が微笑みを持っていないとか、人々が精神的につながっていないとか、経済成長を遂げていく時代にそんなことを感じておられたんですね。あれから随分と時が経つわけですが、その現状はもっと深刻になっている感じがします。

チベット仏教のダライ・ラマ法王はこう言っています。「思いやりや愛は贅沢品ではありません。それは自分の内と外の平和の源として、人類が存続していくための必需品なのです」  

「思いやり」や「愛」は、私たちが生きていく上でなくてはならないものですよね。皆さんも「そうだ、そうだ」と言うでしょう。

しかし現代社会でまず大事なのは「自分」です。次に「お金」や「物」あるいは「権力」、そこに価値を見出している時代です。でもその対極にある「思いやり」や「愛」がないと本当は生きていけないんです。

これがどうタッピングタッチと関連するのかというと、それは「ゆっくりやさしくケアし合う」ということで表現しています。

タッピングタッチによる安全なふれあいやケアの体験を通して、思いやりの気持ちを取り戻し、支え合いのある関係を取り戻していくことができるのです。

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