活動レポート(ブログ)

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コスタリカ旅行レポート

2006/05/15海外活動

米国とコスタリカに5月ほぼ2週間もいっていましたが、平和憲法に関するドキュメンタリーのための取材旅行でした。コスタリカの元大統領カラソ氏やノーベル平和賞受賞者のウイリアム氏などとのインタビュー、それから一般の人たちや学生達の街頭インタビューなども収録でき、とっても収穫の多い旅でした。コスタリカは平和教育と軍隊を持たない国であり、今の日本の私たちにとても大切なメッセージを持っています。近いうちに、収録したビデオの上映などもかねて集いを持ちたいと思っています。

それと、タッピング・タッチはコスタリカでも好評でした。コスタリカの「チャンネル6」という番組から取材があり、朝の健康関係の番組で放映され、急遽おこなった3時間のワークショップには、40人以上の人が集まりました。思っていなかった以上の人が集まってくださり、使った場所が一杯になってしまったうえに、夜の6時から9時までの3時間の講座だったのですが、最後の最後までみなさん熱心に参加されていました。彼らの話すスペイン語はまったく出来ないのですが、同時通訳のできる方がついてくださって、本格的な講座がもてたのはありがたかったです。

そのほか、タッピング・タッチに関しては、リンコン・グランデという高校へも訪れ、紹介することができました。貧困や犯罪がはびこる地域で、生徒たちの間での暴力なども絶えない学校なのですが、不安や否定的な感情を軽減する効果のあるタッピング・タッチはとてもよく受けとめられました。実際には、校長先生と生徒指導の先生に説明し体験してもらってから、30人ほどの学生のいるクラスを訪れましたもちろん始めは「これなに?」って感じでしたが、しばらくして分かってくると、とっても楽しそうでした。「帰ったら家族の人たちにしてあげたい」という感想や、質問をしに来てくれた生徒が多かったのが印象的でした。体験された先生方の感想としても、子ども達の関係作りや暴力の軽減などにも役立ちそうだとのことで、継続して関わっていきたいと思っています。

今回の訪問で、タッピング・タッチの有効性や面白さを感じ、コスタリカや中南米で広げることに興味を持っている人たちがおられます。「軍隊を持たない中南米を作ろう」という女性会議に出席した人たちが主ですが、とっても熱心で大きなハートの持ち主たちで、これからが楽しみです。リンコン・グランデ高校へも、もうすでにファローアップとして訪れたいとのことです。
(これを受けて、来年度タッピング・タッチの海外研修を検討中です。ご期待ください!)

ウガンダ滞在レポート

2005/05/22海外活動

アフリカ・ウガンダでのタッピング・タッチについて
         (ウガンダの滞在期間:2005/02/28-2005/03/09)                               2005年5月22日報告

今回のウガンダでのタッピング・タッチの実践とリサーチは、「平和NGO テラ・ルネッサンス」の元子供兵支援のプロジェクトの一つとして共同でおこなったものです。これまでテラ・ルネッサンスは、物資や資金的な支援を主におこなってきたのですが、元子供兵たちの心のケアの必要性にも応じるために、タッピング・タッチの有効性を連携して探ってみようということになったのです。

一般的にNGOと学術的分野との連携は難しいだけに、心理や教育の分野での利用が多いタッピング・タッチと平和活動を中心としたNGOとが連携・協働できたことの意義は大きかったと思います。テラ・ルネッサンスの代表の鬼丸昌也さんは、とても楽しく才能のある方で、これからも色々な形で連携していけることを願っています。

とにかく、わたしにとってのアフリカ・ウガンダの旅は、ほんの10日間ほどの旅だったにもかかわらず、多くの出会いとともにとても収穫の多い時間でした。アフリカは僕にとって本当に未知のところで、旅に何を持っていくべきかさえわからないような状態でしたが、多くの人たちの支えと出会いによって素晴らしい旅になりました。

行く前に、ウガンダ!アフリカ!って聞いて、心配してくださった人たちも多く、別々の地域で計3度もの歓送会をしてもらうことになりました。僕自身、西ナイル熱、マラリア、コレラ、黄熱病などの怖さや、反政府軍の襲撃や虐殺のことなど、読んだり聞いたりして、不安はありましたが、みんながあんまり改まって別れを告げたり、「無事に帰ってきてね!」なんて、念を押されると、「え、そんなにとんでもないところへ行くんだっけ!?」と余計に不安になったり・・・

現地では元子供兵のリハビリの施設とHIVのクリニックにおいて、タッピング・タッチを心のケアとして利用してもらい、とても有効なものであることを確信することができました。トラウマのレベルや文化の大きな違いがあっても、人間としての共通点とともに、タッピング・タッチは世界中のどこの人たちにも共有でき役立つものでありそうです。

グスコ(NGO/GUSCO)という施設では、リハビリを受けている10人の子供たちにタッピング・タッチを体験してもらうことができました。ここで働くオワチグ氏は、現地語のアチョリ語と英語のバイリンガルであり、元児童兵たちの心理・社会的ケアに長く携わってこられたソーシャルワーカーです。彼は、短時間でタッピング・タッチの本質と方法を理解し、タッピング・タッチをアチョリ語で分かりやすく子供たちに教えてくれました。

タッピング・タッチをしている間、だれも嫌がったり茶化した
りする子供はなく、みんな心地よさそうにしあっていました。
してもらっているうちに、椅子の背もたれにもたれかかるようにして居眠りし始める子供も多く、心地よさやリラクセーションが深まっていることが明らかでした。終わってからの感想には、「気持ちがよかった」「眠くなった」「楽になった」「またやりたい」などが多かったです。

このリサーチでは、クレヨンと紙による描画と顔尺度も使って測定したのですが、タッピング・タッチによる肯定的な内的変化が示されました。トラウマに関連した内的イメージや記憶が肯定的に変化し、日常的なイメージや興味が高まる傾向がみられたのです。これは、紛争などによって強いトラウマを経験した元児童兵たちにとっても、過激な再体験や副作用なく、タッピング・タッチによって心的外傷が軽減されることを示唆しています。この測定結果は、日本心理臨床学会の大会(2005年9月)で発表することになっています。

今回のリサーチによって、元児童兵のリハビリ施設においてのタッピング・タッチのこころのケアとしての有効性を確認することができました。また、ウガンダの他の施設などでの体験も含めて考慮すると、1)タッピング・タッチはウガンダの人たちにとって違和感が少ないものであること、2)基本的なインストラクションは同じでよいこと、3)現地語でおこなうことの有効性、なども確認することができました。リハビリ施設などでの継続的、または日常的な利用によって、こころのケアとしての効果が高まると思います。

ウガンダへ行く前は、アフリカのように近代化されていない地域に住む人たちは、お互いのケアやスキンシップを十分にされるから、タッピング・タッチのようなものはあまり役立たないのでは、といった疑問もありました。近代化され、生活のペースが速くなり、お互いをかまいあうことが二の次になってしまっている地域でこそタッピング・タッチの役割があるだろうと感じていたからです。

でも、地元の人たちとの交流や会話を通して、彼らの生活様式や社会情勢をしるにしたがって、そうでもないことが分かっていきました。一つには、これまでのイギリスによる植民地政策や内戦などによって伝統的な生活様式が乱されてきました。そして、政治の腐敗と共に、一般の人たちの生活はとても厳しく、貧困であえいでいる人たちが大多数を占めています。そのような厳しい生活の中、お互いを大切

にしたり、ケアしあうといった余裕がなくなってしまっている人たちが多いようなのです。例えば、母親たちも生活に追われ、自分の赤ん坊を物のように背中におんぶし、十分な愛情を与えられていないように見受けることも多いとのことでした。

日本など、近代化された社会では、生活のペースが速くなりすぎて、お互いをかまいあったり、ケアし合うことが少なくなってしまっていますが、ウガンダでは、伝統文化の枯渇や貧困によって、お互いのケアやスキンシップに必要な余裕がなくなってしまっていると言えそうです。このような体験と理解から、タッピング・タッチは、近代化された地域の人たちだけでなく、紛争や貧困などで厳しい生活をしいられている人たちにも役立つことを確認することができたと感じています。

ウガンダから帰って、立命館大学での「ホリスティック教育講座」(3月13日)とキャンパスプラザ京都(4月2日)で、ウガンダでのタッピング・タッチに関する報告をさせていただきました。タッピング・タッチのグローバルな働きの可能性や人間性の共通点など、さまざまなことを学びあう時間を共有することができたように思います。

ウガンダでは、プロフォトグラファーの山田しん氏が写真とビデオ撮りを担当してくださり、映像よる記録もたくさん残りました。キャンパスプラザ京都での報告会では、山田氏のフォトに加えて、ナイトコミューターと呼ばれる子供たちの歌声やストーリーテリングなどのサウンドなども使うことができ、マルチメディアで現地の臨場感を味わってもらえたと思います。

私のこれからの予定としては、今年の8月頃にもう一度ウガンダを訪れ、タッピング・タッチによる心のケアのあり方を教えに行くことを予定しています。タッピング・タッチはお金も道具もいらず、高い専門性を必要としない等の利点から、リハビリなどでのケアの一環としての利用に興味がもたれています。

今回、アウトリーチというHIVやAIDSの治療を無料で提供しているプログラムでもタッピング・タッチを紹介する機会がありました。短い時間しかとれなかったのですが、治療を受けに来ている人たちに教えたり、医者やナースなどのミニ研修をさせてもらいました。そこで献身的に働いておられる北川恵以子医師の理解とサポートで可能になったのですが、次回訪れるときは、もう少し具体的にエイズの治療におけるタッピング・タッチの利用のあり方などを探ってみたいと思っています。

それ以外に、隣国のケニアにストリート・チルドレンへのサポートをおこなっているモヨ・チルドレンセンターというNPOがあります。そこを主宰されている松下照美さんとも連絡がとれていて、アフリカに再度訪れるときに、隣の国なので足を伸ばすことを考えています。

リサーチに関しては、京都の立命館大学の高垣忠一郎先生にもサポートしていただき、虐待を受けた日本の子供たちとの比較リサーチの企画もすすめています。その一環として5月には、児童養護施設の「つばさ園」での研修会を通して、スタッフにタッピング・タッチを学んでいただくことになっています。

世界には、さまざまな要因で厳しい生活を強いられている人たちが多いのですが、お金や施設が無くても気軽にできる心のケアの技法としてタッピング・タッチが活用されていくことを願っています。わたしは、タッピング・タッチに加えて、リスニング(傾聴)などのカウンセリングの基本をボランティアやスタッフに学んでもらえれば、専門的なトレーニングなどがあまり無い人たちでも、安全かつ効果的にこころのケアを提供できる体制がとれると考えています。

わたしが、これまでの臨床経験とタッピング・タッチを通して強く感じるのは、誰においても「お互いをケアする」ことが健康の基本だということです。新潟の中越でもウガンダでも同じでしたが、とくに災害などで厳しい状況におかれている人たちにとって、お互いの優しさを感じたり、無理なくケアしあえることが何よりサポートになることを強く感じました。

そういう意味で、「誰でもできるこころのケア」または「お互いしあえるこころのケア」としてのタッピング・タッチは今後グローバルに役立っていくだろうことに希望を感じています。最近は国内でも自然災害や犯罪などが多く、こころのケアのニーズは高まるばかりですが、ウガンダでの調査結果や体験を活かして、国内外のサポートにつなげていきたいと考えています。

興味があるかたはぜひご連絡ください。いろいろとご一緒できれば嬉しいです。

テラ・ルネッサンス http://www.terra-r.jp 
平和NGO TEL/FAX 075-645-1802
1.カンボジア地雷除去・地雷被害者支援・除隊兵士の生活再建支援 2.ウガンダ元子ども兵の社会復帰のサポート

GUSCO (Gulu United to Save the Children Organization)アチョリ族の女性リーダー達によって1994年に創設された。0歳から18歳の元こども兵や主にスーダンで拉致された子供たちを援助するNGO。

モヨ・チルドレンセンター http://www.be-us.net/fund/
1.子供たちへの学費援助 2.学校施設への援助 3.女性の自立支援 をおこなっています