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【インタビュー】 学生が自分をケアできる力を育てたい ―大学保健室から広がるタッピングタッチ

2026/03/19協会より

横浜商科大学の保健室で保健師として働く山本美紀さん。
大学祭や地域活動、さらには“推し活”や故郷・四国でも、タッピングタッチの種をまき続けています。
インフルエンザ対応で忙しい時期でしたが、昼休みにお話を伺いました。

■ 大学祭 2日間で100人が体験
「大学祭では救護スタッフとして待機するだけでなく、自分にも何かできることがあるのではと考え、タッピングタッチ体験会を始めました。今年で3年目になります。」
神奈川県や静岡県からインストラクター仲間が集まり、4名体制で実施。2日間で100人以上が体験しました。来場者は商店街の方、横浜信用金庫の職員や利用者、地域の健康チェックやフットケア関連団体の皆さん、学生や教職員の家族など実に多彩です。

Jリーグ・横浜FCのフリ丸くんも タッピングタッチ

「忙しい時間帯には、お子さんにお母さんがタッチしてもらい、そのお母さんの背中をインストラクターがタッチする、といった工夫もしました」限られた時間と人数の中で、「できる形」を考えながら実施しています。
体験後のアンケートでは、「またやってほしい」が100%でした。
「とてもうれしい結果です。でもタッピングタッチでは“してあげる”“してもらう”の両方とも大切なので、“してあげる”体験の場づくりを模索中です。」イベントの成功にとどまらず、本質を大切にしたいという思いが伝わってきます。


■ 
大学保健室という現場で
横浜商科大学では、1年生全員が健康診断の結果を保健室に直接取りに来る仕組みがあります。これは、学生に保健室の場所を知ってもらい、利用しやすくするための工夫です。「結果を渡すときに『血圧や体重を測りに、いつでもおいで』と声をかけると、意外とみんな顔を出してくれるんですよ」と山本さんは言います。​

血圧が高めの学生、疲労感や落ち込みを話す学生、なんとなく立ち寄る学生。そんなとき、「気分転換になるよ」とタッピングタッチを提案します。「役割を交代し、学生さんがお返しにタッピングをしてくれる日か来るといいなと思っています。“お互いさま”や『自分もこれだったらできるな』を、学生たちにも感じてもらいたいです。」

一方で、最近は一人暮らしも多く、家庭環境や人間関係などの理由から、互いにケアをしあう「しあいっこ」が難しい学生も増えていると感じています。その場合は、セルフケアの“腕だけ散歩”や、セルフタッピングを一緒にするそうです。「“腕だけ散歩”の前後で血圧を測って数字を比べると、その変化に学生自身も驚いていますよ。」​

触れ合う機会が少ない時代だからこそ、保健室という日常の場で、小さな安心を積み重ねていくことの意味を感じさせてくれます。
その取り組みは、学内にとどまらず、さらに広がりを見せています。


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信用金庫へ広がったご縁
大学祭での出会いをきっかけに、横浜信用金庫の支店長から声がかかりました。
「年金支給日の待合室でタッピングタッチをやってみませんか?」

大学祭で樋口さん、牟田園さん、山本さん

現在は、インストラクターの樋口明美さん、牟田園美智子さんが中心となって行い、毎月10名以上が体験しています。「信用金庫で体験した方から『どこで受けられますか』と聞かれることもあります。」山本さんはバックアップとして関わりながら、地域で活動する仲間を支えています。

大学祭の一角での体験が、地域金融機関での継続的な実践へ。インストラクター同士の連携が、新たな場を生み出しています。​


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出会いと学びを積み重ねて
山本さんがタッピングタッチを初めて体験したのは2019年、看護学会での八木美智子さん(インストラクター・看護教員)の講演でした。「保健師仲間の平由佳さんがインストラクターになったと聞いてはいたのですが、実際にこのとき体験して、ぜひ大学でも活用したいと思いました。」

早速、八木さんを大学に招き、教職員向け講座を実施しました。そして、山本さん自身もインストラクター資格を目指しました。しかし、コロナ禍で養成講座は延期となり、対面での実践も難しい時期が続きます。そのとき支えとなったのが、八木さんが主宰するオンライン「セルフタッピングの会」でした。オンラインで集い、一緒にタッピングタッチを行い、顔を見ながら感想を分かち合う場です。タッピングタッチの経験があまりなかった山本さんは、この場での実践や皆さんの感想がとても学びになったと話してくれました。そして2021年にインストラクター資格を取得。現在も継続して参加する「セルフタッピングの会」は、400回を超えています。その歩みは、タッピングタッチ協会のブログでも紹介されています。

ブログ記事『継続で実感!!「セルフタッピングの会」400回達成!』
https://www.tappingtouch.org/?p=15106


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故郷・四国での「種まき」
山本さんの情熱は、大学やその周辺地域だけにとどまりません。帰省の折には、故郷である徳島でも積極的に活動しています。「四国にはずっとインストラクターがいなかったんです。最近ようやく愛媛で一人誕生したと全国大会で知り、本当に嬉しかった。徳島にはまだいないので、私も帰省した時にはタッピングタッチの種をまいています。」

一昨年の8月には、地元の介護施設に本やパンフレットを持ってタッピングタッチを紹介してきました。「『〇〇さんのお姉さんですね!』という地元のよしみもあり、その日の午後にすぐ『ぜひ、やってください』と呼ばれて実践させてもらいました。」
また、お盆や正月の帰省時は公共施設が休みのため時期をずらし、昨年3月には夜行バスで往復し、公民館で体験会を開いたそうです。

「私の幼少期を知っている近所の方たちが集まってくれました。一人暮らしのお年寄りが多いのでセルフケアを紹介しました。『お互いに背中をトントンし合う形もあるんだよ』と伝えると、『やろうやろう、輪になったらいいね』と。おばちゃんたちが自然に丸くなって、みんなで背中をタッピングタッチしました。」

「年末年始とお盆しか帰れないけれど、地元ならではの良さを活かした活動を続けたい。みんなとの約束を破らないよう、これからも実践していきたいです」と明るい決意を話してくれました。


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“推し活”の場でも、タッピングタッチ

「私、今すごい種まきしてるんですよ」 そう笑う山本さんの日常には、タッピングタッチがごく自然に溶け込んでいます。
「みんな定年を迎え同窓会など集う機会も増えたので、チラシを配って『こんなことやってるよ』と伝えます。あとは推し活でも!イベントの宿泊先で同室の初対面の方に自己紹介を兼ねてタッピングタッチをしています。イベントのお土産の一つになればよいかと^^」
出会う人を軽やかにケアの場へと誘う山本さんは、まさに「いつでもどこでもタッピングタッチ」を体現しています。


■ 保健室の現場から、さらなる一歩へ

定年を迎え、現在は嘱託職員として働く山本さん。立場は変わっても、以前と変わらずフルタイムで学生と向き合っています。

そんな山本さんには、いま思い描いていることがあります。
「学生向けの講座をやりたいんです。学生自治会(学友会)がキーパーソンになるので、彼らが主体となって健康やストレスについての企画を立ててくれるよう、働きかけていきたいですね。」

保健室で一人ひとりに届ける支援だけでなく、学生たちが自らケアの手段を持ち、実践できる機会をつくること。山本さんの視線は、すでにその先を見つめています。

キャンパス、地域、そして故郷へ。

「いつでもどこでも」自分を整えられるタッピングタッチの種を、山本さんはこれからも笑顔でまき続けていきます。

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